コレクション: 漆黒の森(dark forest)

<コンセプト & ストーリー>

漆黒の森

このエボナイトのような真っ暗な闇の中、わたしたちは周囲をどのように認知するのだろうか?

「匂いと音」嗅覚と聴覚、そして触感もあるかもしれない。

しかし先ずは音と匂いではないだろうか? 集中して周囲の音を、漏らさず聞き取ろうとするのではないだろうか?


鼻先で状況を探ろうとするのではないだろうか?

真っ暗闇の中に立って、いきなり周囲に手を伸ばすことは恐ろしくて、実際にはできないはずだ

心も…このような暗闇にいると感じる時がある。

忙しい日々の中で、心が忙殺され、自分の本心が見えなくなる時があるのではないだろうか?

自分へのたえまない問いかけ、(自分の中の他者への問いかけ)、想いの葛藤の中、言葉を絞り出し、だれかに届けたいと思うことがあるのではないだろうか?

そのような時まさか剥き出しの心の声を届けるのだろうか?

読み手に対する敬意をもって、どのように相手に伝わるのかを、想像し情理を尽くして語るのではないだろうか?

現代はデジタルに物事を算出し、評価し、考える世界です。
しかし身体と精神は感覚的、情動的といったものを表現すための、デジタルとアナログを架橋する器官です。


この漆黒の森は、その心の中を表現する、難しさを試行錯誤したとき、生まれました。

心 落ち着ける、エボナイトのしっとりとした触感、体温を感じる温かみ、様々な表情を魅せてくれる杢目によってできています。

この現代のような感覚を遮断された、無機質な空間の中でも身体的感受性を置き忘れることがないように、この材料をこだわっている。

そして杢目、これは樹の生きた歳月であり、知ることのできなかったその樹の何百年、何千年と生きた証、生命力にあふれた優しい表情を目にすると、決して突発的な歩みで、年輪ができたわけではないことを思い起こすします。

この万年筆を手にし、目にするたびに、じっくりと読み手に対して敬意をもって、情理を尽くして語りたくなるのではないだろうか。

そして手にしたとき…使い込むほどに、時と共に味わい深い風合いとなっていき、その表面の微妙な変化に、自分の年月と杢目を重ね合わせるのではないだろうか?